この調査は、亀山市が鈴鹿川等源流域をはじめとする市内河川における水生生物の生息状況を確認するため、市内で活動している市民団体である「亀山の自然環境を愛する会」、「水辺づくりの会 鈴鹿川のうお座」、「魚と子どものネットワーク」へ調査を依頼し、令和元年4月から11月の期間で行いました。
亀山市環境課ウェブサイト
〈令和元年度 鈴鹿川等源流域をはじめとする市内河川に生息する水生生物について〉
https://www.city.kameyama.mie.jp/docs/2020051300063/
-きっかけ-
「自分たちが子どもの頃は川で遊んだりしたが、現在は子どもが川で遊ぶこともない。」
「川に棲んでいた生き物が、今も棲んでいるのか、川がどの様な状態になっているかがわからない」
という源流域周辺に住んでいる方々からの声をきっかけとして、亀山市で「令和元年度 鈴鹿川等源流域をはじめとする市内河川に生息する水生生物について」調査が行われました。鈴鹿川等源流の森林づくり協議会も、参加団体の一つとして携わっています。
-調査対象の5つの河川とそこに棲む魚-
亀山市を流れる川には、鈴鹿山脈と布引山地を源流とする鈴鹿川とその支川および中ノ川の支川がある。水がきれいで魚に必要な構造がここかしこに存在し、汽水域までに35種以上の魚たち水生生物が生息している。
令和元年度、鈴鹿川とそれに合流する加太川・安楽川・椋川および中ノ川の計五川における魚分布を3団体共同で調査した。
-調査からわかったこと:水生生物について-
「亀山の自然環境を愛する会」代表 浅田正雄さん
・今まで体験してきた代表的な魚・カワムツ、オイカワ、ヨシノボリ類、シマドジョウ、エビ類が各所で予想通り多く採取されました。
・上流しかいなかったタカハヤやアカザが中流にまで、多く見られるようになりました。水温ではなく、下水道整備などによる水質向上が関係しているのかなと思います。
・魚の棲み場所の思い込みとは今回亀山市内の違った場所から採取した驚きも多々ありました。
・淡水ガニで食用とされるモクズガニは、成長した姿を見かけるのは稀でしたが、今回は調査個所すべてで採取されました。調査時期と産卵のため汽水域へ移動する時期(秋から初冬)が重なったためだと認識しました。
-調査から感じたこと:水生生物の棲む環境について-
「水辺づくりの会 鈴鹿川のうお座」代表 栗原 勉さん
・亀山市内の河川調査をして、川の水量、地形、魚種の種類、量等など改めて昔と比べるとだいぶ様変わりしたと感じます。
・一番大きく変わったのは、昭和49年災害後ぐらいと思います。それ以前は、川のなかに大きな石や、またその石によってできる深みや、護岸がコンクリートでは無かったので、ヨシやアシなどによるよどみなど生物に住みやすい環境だったと思います。
・人が生活していくなかで、川だけを考えると、治水、利水、環境保護と、考えなければいけません。でも、この三つは、相反する要素を持っているために、大変難しい問題だと思います。
-今回の調査でよかったこと:調査を通じた水生生物と子どもたちとの出会い-
「魚と子どものネットワーク」代表 新玉 拓也さん
・椋川や鈴鹿川は私たちが子どもの頃、遊びまわっていた大切な川で、原点とも言える川で調査に関われたことは大変うれしいことです。
・市民団体3団体で調査場所や手法を話し合い、手作りの調査を実施することができました。また、調査もふまえた観察会などを通し、多くの子どもたちと川での時間を共有できました。
・2019年に立ち上げたばかりの「魚と子どもKidsクラブ」の子どもたちも積極的に調査に参加してくれて、自然とふれあうことで、いろんな気づきや発見があればいいなと思います。
・発見を求めていろんなフィールドへ出かけましょう。みんなが生きものや自然のことを考え、行動することで、亀山市の豊かな自然を守ることができると思います。
-調査に参加した子どもたち・協力いただいた方々-
・坂下地区まちづくり協議会、昼生地区まちづくり協議会の方々
・昼生小学校、亀山西小学校から参加の子どもたち、各学校の先生・保護者の方々
・里山公園みちくさ及び森林公園やまびこの管理の方々(川についての知識が豊富!)
・本×生き物の視点で参加を得た「亀山市立図書館とよりよい図書館をめざす会」の方々
-調査を終え今後に向けて-
・調査結果が単なる報告書で終わることなく、環境保全や環境教育など様々な場面で生かされることを切に願います。(新玉さん)
・今回のような3団体の共同調査により、各自では不可能なより多くの事を知ることができました。まだまだいろんな場所や冬季の調査などが残っていますが、今後も実施していきたく思います。調査体験に基づき、子どもたちや、亀山市民により川の自然に親しんで頂けるよう頑張りたいと思っています。(浅田さん)
・人の手によって作ってきた物、壊してきた物は、人の手でしか直していけないと思
います。これからの環境保護を、携わっていく一人として、これらの問題に真摯に向き合って考えて行きたいと思います。(栗原さん)
令和2年度も夏の協議会イベントで水生生物調査を予定していましたが中止となりました。小学生や祖父母の付き添いによる小さなお子さんの申し込みも多く残念でした。
亀山の川や魚に親しんでいただく機会として引き続き実施していく予定となっています。